“量産品のような試作品”を真空注型にて
図面がなくても現物を高精度に再現できる、荒川技研の真空注型サービス。
シリコーン型を用いてウレタン注型樹脂を流し込み、1型あたり10〜20個程度※の複製が可能。
ABSライク、透明、ゴムライク、耐熱タイプなど多彩な樹脂に対応し、インサート成形や非黄変透明品などの高機能仕様にも柔軟に対応します。
さらに、切削加工・光造形・3Dプリントなど他の工法も組み合わせ、製品仕様・数量・納期に応じた最適な加工方法をご提案。
「精度重視」「コスト優先」「外観試作」など、目的に合わせたワンストップ対応で、
あらゆる業界のプロトタイプ、補修部品、デザインモデルを短納期・高品質で実現します。
※ 型の寿命や材質により生産個数は変動します。
真空注型とは
真空注型とはシリコンゴム等で作られた金型を利用し、型に樹脂を流し込み固化させた後、型を外して製品を作る方法です。この場合の金型は切削で作るのではなく、マスターモデルをもとに型取りをして真空注型ゴム型(シリコン型)を作り利用します。金型を切削で作るよりも圧倒的に早く安く製品を作れるのが特徴です。ある程度数十個〜100個程度の製品に向いています。それ以上になると金型自体が金属と比べ摩耗するため、再度金型が必要になります。
真空注型で作る製品の材質はウレタンかシリコンゴムが一般的です。
・複製品の精度は、金型に匹敵するほど良好です。
・金型に比べ、短納期で型が製作できます。
・射出成形が可能な部品であればほとんど複製可能です。
・金属部品及び特殊な切削加工品、成形品をインサート注型することも可能です。
・最大1,200×1,200まで対応が可能です。
真空注型のメリット
・切削において分割加工、接着にて製作する部品を一体での再現が可能です。
・小ロット製作に有効です。(シリコンゴム型 1型当り1~20個製作可能)
・金型に比べ安価で製作が可能です。
・金型と違いシリコン型の為、多少のアンダー形状も無理抜きが行えます。
・ウレタン系熱硬化樹脂によるABSライク、PPライク、透明アクリルライク、エラストマー相当が可能です。
真空注型のデメリット
・材質が、ウレタン系とエポキシ系に限定されます。
・1日に注型出来る数量が、5個前後です。(大きさにより、変動します)
・20個程度で型の更新が必要となります。(透明品は10個程度)
・切削品や射出成型品に比べ、精度がやや劣ります。
(寸法精度は、サイズによりますが、一般的に±0.1~±0.5程度(JIS規格 中級クラス)となります。)
・成形材料と物性が異なる為、実際の製品を想定した強度テスト等に適していません。
真空注型によるインサート成形は可能?
→真空注型は主にウレタン樹脂などを用いた試作・小ロット成形法であり、シリコーンゴム型に樹脂を流し込んで成形します。そのため、インサート(ネジ、金属部品、電子部品など)を型内に配置して樹脂を流し込むことは十分可能です。ただし、真空注型では射出圧力が低いため、インサートの固定方法や、密着性、温度と材質適合性などを調整する必要があります。そのため、真空注型の中でもとりわけ技術力とノウハウが必要となります。
真空注型によるインサート成形例:透明ガラスをインサートした注型品
用途 | インサートの種類 | ポイント |
---|---|---|
外装試作モデル | ネジブッシュ(真鍮) | ネジ止め検証や組立強度確認 |
コネクタ試作 | ピン端子・メタルパーツ | 実装検証用、導通確認 |
真空注型品の表面処理は可能?
→マスターの表面処理により、シボ、光沢、着色が可能です。
マスターの表面処理を行うことで、より製品レベルに近いものに仕上げたり、着色したりすることができます。
下写真(中・右)は、切削マスターを鏡面仕上げしてシリコン型を作製し、遮蔽性のある注型材を流し込んだものです。
※シリコン型は機密に関わるため、お渡しする事はできませんのでご了承ください。

遮蔽性のある注型材

遮蔽性のある注型材(部分拡大)
図面がなくてもの現物からの製造が可能?
→真空注型は図面がなくても現物からの複製(リバースエンジニアリング)による製造が可能です。真空注型は、マスター(原型)からシリコーン型を作り、その型に樹脂を注入して複製品を作る工法です。
つまり、3Dデータや図面がなくても「マスター(現物)」があれば成形できます。
図面無しから製作する用途・事例
用途カテゴリ | 内容 | メリット |
---|---|---|
旧型部品の再生・補修 | 廃盤製品や入手不可能な樹脂部品を再製作 | 設計データ不要、短納期対応 |
試作モデル | 現物を元に形状検証用試作品を作成 | デザインレビュー・組立確認 |
少量生産・限定品 | デザイン製品や医療・研究用カスタム部品など | 金型コスト不要、低コスト対応 |
※個人使用に限ります。商用のレプリカはお受けできません。
1. 自動車部品の再製作
古い車両のエンジンカバー、レンズ、内装パネルなどを現物から復元。
メーカー供給が終了した部品を、真空注型で少量複製することでレストア用途に活用。
2. 医療機器のカバー複製
試作機の外装カバーを現物から再現。
現物→3Dスキャン→ウレタン樹脂注型で透明樹脂の外装品を数個単位で製作。
3. 工業製品の予備部品製作
短納期で交換パーツを作るために、図面がない現物部品から型を起こして対応。設備の停止を防ぐ保守対応として採用。
治具などのスペアパーツ及び図面化によるDXの推進。 などなど
製品サンプル1:真空注型12面体を作成
今回は真空注型品のサンプルとして12面体を作成しました。
完成品: 12面体
マスターモデル:透明アクリル サイズ:92 x 95 x 8H
ゴム型:シリコンゴム
注型品:透明ウレタン 着色透明品 (赤色、黄緑色、黄色)
注型品2次加工:マスキング後シルク印刷(黒色 白色)

こちらがマスターモデルです。マスターモデルとは原型のことで、これをもとに注型用のゴム型を作ります。
自作のジョイントパーツでアッセンブリして12面体の出来上がりです。
こちらが作成した注型用のゴム型です。今回の材質はシリコンで作成しています。
こちらが真空注型で出来た着色透明品です。
出来た製品にマスキングを行いシルク印刷を行いました。
製品サンプル2:真空注型で木の葉を再現
今回は自然界に落ちていた虫の食った木の葉を注型品で再現してみました。
完成品:木の葉
マスターモデル:自然界の木の葉
ゴム型:シリコンゴム
注型品:透明ウレタン(着色注型:青色、桃色、緑色)
こちらがマスターモデルをもとに作成したゴム型です。マスターモデルは撮影前に自然界へ戻してしまいました。
こちらが完成品です。
葉っぱのような薄肉の物であっても真空注型による小・中量生産が可能です。
製品サンプル3:難黄変タイプ(黄色くなりづらい)の透明注型品も製作可能
透明注型品は 通常のプラスチックより紫外線や経年変化(酸化、湿気、熱 等)による黄変が進みやすい為、難黄変の透明ポリウレタン真空注型材料があります。下記の写真はそれらの比較です。

マスターモデル(ガラス製)

透明注型品(通常タイプ)

透明注型品(難黄変)
真空注型ができる対応素材は?
→真空注型で使用できる素材(=主にウレタン樹脂系材料)は非常に多様で、
目的や試作対象に応じて「ABSライク」「PPライク」「ゴムライク」「透明樹脂」などを使い分けます。
以下に代表的なカテゴリと具体的な材料特性をまとめます。
UGSUP-7610 | タイプ | ABS相当 |
基本色 | ナチュラル/白・黒(着色可能) | |
特性・用途 | ABS相当材料といわれる物で、一番汎用性の高い物で、寸法精度なども一番出し易い樹脂です。 | |
着色等もし易いため様々な部品に使用しております。 | ||
ハイキャスト3751 | タイプ | 透明 |
基本色 | クリアー(着色可能) | |
特性・用途 | 通常の透明試作品などに使用いたします。 | |
ハイキャスト3741 | タイプ | 高透明非黄変 |
基本色 | クリアー(着色可能) | |
特性・用途 | 非黄変対応タイプの透明樹脂です。 | |
高透明でなお且つ使用期間が長い、展示するなど、製品レベルでの使用に耐えうる樹脂と言えます。 | ||
ハイキャストG0459 | タイプ | 耐熱樹脂 |
基本色 | 黄褐色透明(黒は可能) | |
特性・用途 | ステップキュアをする事で耐熱180度程度まで可能(形状や肉厚ににもよる)通常は130度程度。 | |
但し割れやすいのが難点です。 | ||
ADAPT PU-01 | タイプ | 高耐熱耐衝撃 |
基本色 | 黄褐色透明(黒は可能) | |
特性・用途 | 耐熱性耐衝撃性ともに抜群の物性ですが高粘度のため注型方法も他とは異なります。 | |
ADAPT RU-70 | タイプ | 樹脂メッキ対応 |
基本色 | ナチュラル・黒 | |
特性・用途 | 遊戯関係(パチンコ・パチスロ)の部品や自動車のドアハンドル・内装部品のメッキパーツなどの試作で使用いたします。 | |
ハイキャスト3400 | タイプ | ゴム |
基本色 | ナチュラル・黒(着色可能) | |
特性・用途 | 3液性でShoreA20~90度を10度刻みで調整可能なウレタンエラストマー樹脂です。 | |
自動車のゴム部品などに多く使用されています。 | ||
CEP-5 | タイプ | エポキシ透明 |
基本色 | クリアー(着色可能) | |
特性・用途 | ウレタン透明樹脂と違い低粘度かつポットライフが非常に長いため気泡の無い製品を作れます。 | |
自動車のヘッドランプの試作品や通常の注型では気泡混入が間逃れない形状に適しています。 | ||
ハイキャスト3260 | タイプ | 難燃性(V0) |
基本色 | 白(数色なら着色可能) | |
特性・用途 | UL94 V-0認定品の注型樹脂です。 | |
小ロット量産品などにも使用しております。(一部の鉄道、航空部品の内装品など) |