PLA(生分解性プラスチック)の切削加工

荒川技研ではお客様のSDGsの実現に向けて生分解性プラスチックの試作切削加工にも挑戦しています。

PLAの切削時の注意点

PLAは硬度が高く脆い樹脂材料です。だからといって遅い速度で切削してしまうと摩擦熱でPLAが溶けてしまいます。そのため、切り込み量を少なく、送り速度を早く設定し、摩擦熱がたまらないようにするなどの工夫をしておいたほうがいいでしょう。

生分解性プラスチック切削加工品

38 × 74 × 41 t

PLA(生分解性プラスチック)とは

PLAとは「Poly-Lactic Acid」の略語で、日本語でいうと「ポリ乳酸」と呼ばれる樹脂材料を指します。PLAは一般的な樹脂材料とは異なり、原料が石油ではありません。トウモロコシやじゃがいもなどの植物を原料とする少し変わった樹脂材料です。

PLAは土中の微生物によって分解されます。そのため、誤って廃棄されたとしても、数年で土に還る特徴があります。石油に依存しないことや、土に還るという点から、環境意識の変化とともに近年、注目を集めている素材です。

PLAの製造方法を簡単に説明しておきましょう。

トウモロコシなどを機械的に破砕し、取り出したデンプン質を酵素で分解し、糖分を取り出します。取り出した糖分を乳酸菌で分解し、乳酸を生成。生成した乳酸を重合させたものがPLA(ポリ乳酸)です。ちなみにトウモロコシからPLAを製造した場合、およそ100gのトウモロコシからおよそ40gのPLAを製造できます。

SDGsにおけるPLAの取り扱いについて

近年注目が高まっているSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」でも、PLAへの注目が高まっています。

なぜなら、PLAで作られた製品を焼却処分したときに発生するCO2の排出量と、原材料となるトウモロコシやじゃがいもなどが行った光合成によるCO2吸収量がほぼ同じになるからです。つまり、長期的に見たときにCO2を増やすリスクがほとんどないのです。焼却時に有毒なガスも発生しないので、環境に優しい樹脂素材であることは間違いありません。

また、PLAは土中でバクテリアにより分解されます。PLAは土中にいる様々な微生物によって分解されますが、最終的にはCO2と水に分解されます。PLAであれば、万が一、正しく廃棄されなかった場合でも最終的に土に還ります。

海洋へと捨てられたプラスチック製品が微細化されマイクロプラスチックとなり、海洋生物の誤飲や体内に取り込まれる問題からも、生分解性プラスチックであるPLAを含むバイオプラスチックは注目を集めているのです。

PLA(生分解性プラスチック)の特徴

PLAはグレードや混合物によって異なりますが、融点170~175℃、比重1.24~1.25とされています。

PLAは、硬度が高い反面、衝撃などにはあまり強くありません。そのため、衝撃が加わったり、柔軟性が必要とされるような製品には向かないのが特徴です。また、融点は170~175℃ですが耐熱温度が低く、60℃程度でも力を加えると曲がってしまう場合があります。このような耐熱温度の低さもあり、樹脂製品の加工によく利用される射出成形での加工は困難となっています。

ここまでも触れてきたように、PLAには「生分解性」という特徴もあります。PLAの場合は、土壌中の微生物によって分解されます。そのため、海や川などの水の中、微生物が極端に少ない土壌などでは分解されにくくなっています。

また、PLAは加水分解しやすいという弱点があります。湿度によって加水分解が始まり、徐々に白っぽくなってしまって脆く変質してしまいます。このような特徴からPLAは長期間に渡って利用する製品には向きません。

PLAは酸素、水蒸気などを通す性質があります。展延性にも優れているため、フィルム状に伸ばして使うことで酸素透過性、透湿性を備えたフィルムを作成可能です。また、フィルム状にした際にもPLAの高い硬度からコシのあるフィルムになるのが特徴です。

PLA(生分解性プラスチック)の利用用途

PLAは先程紹介した特徴を活かし下記のような用途で利用されています。

  • 農業用ビニールマルチ
  • 包装用フィルム
  • レジ袋
  • 3Dプリンターのフィラメント

従来の農業用ビニールマルチは、1シーズンで廃棄となるため大量のゴミとなっていたのが問題となっていました。PLAビニールマルチであれば、収穫が終わったらトラクター等でビニールマルチをそのまま土に混ぜ込み、微生物に分解させられるので、回収の作業を省略できます。

包装用フィルムやレジ袋は、使用から廃棄までの期間が短く、加水分解し始めるよりも早く廃棄されるため、デメリットを気にせずに利用できます。

3Dプリンターの中でも、最も普及しているFDM(熱溶解積層方式)タイプのものでは、PLAのフィラメントが材料として一般的に利用されています。PLAを使った3Dプリントは加工時の温度も低く、熱収縮による歪みが少ないという特徴があります。特に低価格帯の3DプリンターではPLAのフィラメントを材料としたものが多くなっています。

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