PE(ポリエチレン)とは
PEは「ポリエチレン」と呼ばれる汎用プラスチックを指します。ポリ袋やプラスチックボトルなど、安価で身近な存在なので、一般の人であっても名前は知っている場合が多いでしょう。
PEはメチレン(-CH2-)構造の繰り返しで構成されます。最も単純な構造をしているプラスチック素材ですが、重合方法によってメチレンの繋がり方や数が異なります。この組成の違いと種類については後ほど詳しく解説します。
PEは1898年に偶然発見されました。その後1930年代頃から合成の方法が開発され、1950年頃に高性能のPEの量産化に成功し、その需要が高まっていき、現在では私達の生活に欠かせないものになっています。
PE(ポリエチレン)の種類
PEは合成の方法によって性能や性質が変わります。
代表的なPEでは以下のものがあげられます。
HDPE(高密度ポリエチレン)…剛性が高く、白っぽい色味をしていて半透明
LDPE、LLDPE(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)…柔軟性があり、透明度が高く、耐熱性が低い
VLDPE(超低密度ポリエチレン)…融点が低く、低温でも強度を出せる
UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)…耐摩耗性・自己潤滑性・耐衝撃性に優れる
合成時の圧力や触媒の違いなどで、上記のような構造の変化がおきます。
汎用プラスチックに分類されるPEですが、「UHMW-PE」だけはスーパーエンジニアプラスチックに分類される性能を持っています。他のPEが2~30万程度の分子量なのに対して、UHMW-PEは100~700万程度の分子量を持っています。性能面でも大きく違った特徴を持つためUHMW-PEは、他のPEとは別物と考えたほうがいいでしょう。
PE(ポリエチレン)の特徴
PEにはいくつかの種類がありますが、基本的な傾向や特徴は同じです。メリットやデメリットについて見ていきましょう。
■メリット
- 価格が安い
- 成形性が高い
- 耐薬品性が高い
- 吸水性が低い
- 電気絶縁性に優れる
- 耐寒性が高い
■デメリット
- 耐熱性が低い
- 紫外線に弱い
- 接着性が低い
価格の安さと成形性が高いこともあって、PEは量産加工に非常に適した素材です。特に成形性は非常に高く、薄肉であってもしっかりと材料が流れてくれるので、フィルムなど材料としても最適です。また、耐薬品性も非常に高く、酸やアルカリに対しては優れた耐性を発揮します。吸水性も低いので、水や水溶液などの保管容器としても最適です。
PEは、-20℃程度までであれば、機械的強度の低下も起こらないとされています。他のプラスチックでは耐えられないような低温環境下でも強度を保てます。
反面、熱にはあまり強くなく、100℃程度で著しく強度が落ちてしまいます。燃えやすいこともあり、発火の危険性がある場所では使用しないほうがいいでしょう。紫外線にも弱く、太陽光の当たる場所だとすぐにもろくなって強度が大幅に低下してしまいます。
PEは接着性がほとんどないので、部品同士の接着や印刷、塗装などの表面処理にはあまり適しません。
PE(ポリエチレン)の利用用途
HDPE(高密度ポリエチレン)
- レジ袋(白色)
- ポリタンク
- 洗面器
LDPE、LLDPE(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)
- ラップやフィルム
- レジ袋(透明)
- 電線などの被覆材
- 包装材
PE(ポリエチレン)の切削の注意点
切削加工でPEを加工する場合は、LDPEは柔らかく切削しにくいため、基本的にHDPEを利用します。HDPEを使ったとしても柔軟性が高いため、切削の精度は出にくくなっています。切削時にバリは発生しやすくなっているので、仕上げ加工には切れ味の鋭い、すくい角の大きな刃物を使用するようにします。