「POM(ポリアセタール)」は、強度や耐摩耗性に優れ、金属部品の代替として最も多く使われるエンジニアリングプラスチックの一つです。
一般的に「快削性(削りやすさ)」が良いと言われるPOMですが、実は熱による寸法変化が起きやすく、バリの処理にノウハウが必要な奥深い素材でもあります。
この記事では、POMの基本的な特徴から、ジュラコン・デルリンといった種類の違い、そして高精度に仕上げるための切削加工の重要ポイントまでを徹底解説します。
POMの切削加工なら荒川技研
樹脂切削の代表的な材質です。物性、コスト、切削加工性と非常に優れた汎用エンプラです。優れた耐久性を活かし、金属部品の代替としても用いられます。荒川技研では毎日のようにPOM材の切削加工を行っております。長年の経験と切削加工ノウハウで樹脂加工製品を提供します。
色調 従来では白、黒の2色となっておりましたが、最近では、赤、青、黄もバリエーションに加わりました。
素材スペックに制限がありますが、部品及び治工具の色別や、展示会サンプルにも使われております。
POM(ポリアセタール)の切削の注意点
POMは「快削性」に優れる一方で、熱による寸法変化や変形が起きやすい材料です。高精度な加工を行うためには、以下の4点に注意が必要です。
1. 熱対策とクーラント(冷却) POMは熱伝導率が低く、切削熱が蓄積しやすいため、熱による膨張や軟化が起こりやすい特性があります。特に穴あけや高速加工では、水溶性クーラントやエアーブローを用いて、刃先とワークを十分に冷却することが寸法精度を保つ鍵となります。
2. 工具選定と切れ味 切削抵抗を抑えるため、超硬合金やハイス鋼などの「ポジティブ(正)すくい角」を採用した切れ味の良い工具が推奨されます。摩耗した刃物は摩擦熱の原因となるため、常に鋭利な状態を保つことが重要です。
3. 切りくずの排出処理 POMの切りくずは連続して繋がりやすく、刃物に巻き付くことで加工面を傷つけるリスクがあります。ステップ加工や適切なチップブレーカーの選定を行い、確実に切りくずを分断・排出させる対策が必要です。
4. バリの抑制 粘り強い性質があるため、抜け際にバリが発生しやすい傾向があります。仕上げ加工の切り込み量を調整するか、またはバリ取り工程を考慮した段取りが求められます。荒加工と仕上げ加工で工具を使い分けることも、美しい仕上げ面を得るために有効です。
ジュラコン・POM切削加工品例
POM(ポリアセタール)とは
POM(ポリアセタール)は、汎用プラスチックよりも強度が高い「エンジニアリングプラスチック」に分類される熱可塑性プラスチックです。比重は1.45、耐熱温度は-45〜95℃となります。化学的な正式名称は「ポリオキシメチレン(Polyoxymethylene)」で、POMはその略語となっていますが、ポリアセタールの呼び名のほうが一般的です。
POMは大きく分けてコポリマー、ホモポリマーの2つの種類があります。分子構造による違いで、コポリマーは熱安定性と耐薬品性に優れ、ホモポリマーは柔軟性に優れている特徴があります。
コポリマーの代表格がポリプラスチックス社の「ジュラコン」、ホモポリマーの代表格がデュポン社の「デルリン」となっており、古い図面などでは材料名がPOMやポリアセタールという表記ではなくジュラコンやデルリンとなっている場合があります。
POMにはいくつものグレードがあり、摺動性グレード、ガラス繊維入りグレード、耐衝撃性グレードなどがあります。
POM(ポリアセタール)の特徴
POMには様々なグレードがありますが、POM全般的な長所としては以下のとおりです。
メリット
- 機械的強度が高い
- 耐摩耗性・摺動性に優れる
- 吸水性が低く寸法安定性が高い
- 耐熱性が高い
- 耐薬品性がある
- エンジニアリングプラスチックの中では安価
デメリット
- 耐候性が低い
- 強酸性に弱い
- 接着できない
- 燃えやすい
- 透明性が低い
優れた機械的強度と摺動性の高さから、機械部品としてPOMは非常によく使われます。自己潤滑性があり、潤滑油なしでも機械部品としてなめらかに動作する点も機械部品としてよく使われる理由の一つです。POMは吸水性が低く、吸水による膨張の影響も少なくなっています。そのため、寸法安定性に優れており、要求精度の高い機械部品としてよく利用されます。有機溶剤やアルカリ薬品には非常に安定した抵抗を示します。
POMは耐候性が特に低く、曝露環境だとすぐに劣化してしまいます。そのため、屋外で使用する場合には、安定剤を添加する必要があります。耐候性グレードには安定剤が添加されていると覚えておきましょう。また、POMは接着性が全くなく、接着剤を用いた部品の接着は基本的にできません。POMの部品をどうしても接着したい場合は、「超音波溶着」と呼ばれる樹脂を摩擦熱で溶かし引っ付ける手法を使うといいでしょう。
POMはプラスチックの中でも燃えやすくなっています。これはPOMの分子構造に酸素が含まれるからです。そのため、火に触れる場所での利用には向きません。結晶性が高いプラスチックであるPOMは透明性が低く、透明性が求められる用途には適しません。基本的には白や黒といった色をしています。
POM(ポリアセタール)の利用用途
POMは高い機械的強度と自己潤滑性、耐摩耗性を活かした利用が多くなっています。POMが最も利用されるのが家電製品などの内部に入れ込まれるギア(歯車)、ベアリングなどの軸受です。なぜなら、機械的強度と自己潤滑性を備えており、潤滑油なしでも静かで滑らかに動いてくれるからです。
複数の歯車を使う場合、触れ合う2つの歯車を同グレードのPOMにしてしまうと硬度の関係から摩耗粉や異音発生の原因となってしまいます。そのため、POMのグレードは部品ごとに変える必要があるので注意しましょう。耐候性を必要としない室内のふすまや引き戸には、中心部に金属製のベアリングを入れ込み、外周部をPOMで成形した戸車が利用されています。POMの他の利用用途には、強度を求められるブラシなどの柄、自動車の内装部品、木管楽器や金管楽器などがあげられます。








