プラスチック材料の選定ポイント

プラスチック材料を選定するまでの流れ

汎用プラスチック、エンジニアリングプラ、スーパーエンジニアリングプラスチック、強化プラスチックなどのプラスチックの種類が増え、すべての樹脂の機能性や耐久性などを把握するのは難しくなってきています。

最適な材料選定

ベストなプラスチック材料を選定していくには、次の2つを考慮する必要があります。

  1. 製品の使用状況を確認する
  2. 最適な加工方法を見極める

1.製品の使用状況を確認する

まずは、製品を使用する状況を把握することが最も大切です。その製品には力が掛かるのか、使用の温度は高いのか低いのか、太陽光を浴びる環境なのかなど、製品が使用される環境を分析しなければ、どのようなプラスチック材料が最適なのかもわかりません。まずは、使用される環境をひとつひとつ確認していくことが大切です。

確認しておいたほうがいい選定基準については、後ほど詳しく解説していきます。

2.最適な加工方法を見極める

プラスチック材料の選定は、スペックだけで決められるものではありません。なぜなら、加工性も考慮する必要があるからです。

例えば、射出成形で加工する場合においては、熱で溶ける「熱可塑性樹脂」を使う必要があります。熱を加えると固まってしまう「熱硬化性樹脂」では、射出成形で加工することはできません。他にも、材料に粘りがありすぎて切削加工では加工が難しいといった問題も出てくる可能性があります。

スペックを満たしていても、加工性の問題で採用を見送る場合は多々あります。採用しようとしているプラスチック材料が、検討している加工方法に適しているかも事前に調べるようにしましょう。

プラスチック材料の評価項目

樹脂評価項目

プラスチック材料の特性は様々な種類があり、すべてをここで紹介することはできませんが、代表的な特性・性能について紹介しておきましょう。

機械的強度

機械的強度は、物理的な力に対する強度を指す言葉です。動きのある製品や力の掛かる製品であれば、機械的強度を無視してしまうとすぐに壊れてしまう製品になりかねません。

一口に機械的強度といっても、

  • 引張強さ…材料を引っ張ったときに破断する直前の力を示します。
  • 引張弾性率…材料を引っ張ったときの変形しにくさを示します。ヤング率とも言います。
  • 衝撃強さ…外部から高速で衝撃を与えたときの抵抗値を示します。靭性の指標としても使われます。
  • 圧縮強さ…押し付ける力を加え、破壊されたときの力を示します。
  • 曲げ強さ…材料を曲げる力を加え、破壊されたときの力を示します。
  • 硬度…材料の硬さを示します。樹脂の場合、ロックウェル硬度、ブリネル硬度が一般的です。

などの評価項目があります。

材料検討している製品にどのような力が加わるのかを判別し、最も近しい評価基準を用いてベストな材料がどれか判別するといいでしょう。

摺動性

摺動性は材料自体が持つ滑りやすさを示す値です。ギア、歯車、ベアリングなどの製品などがなめらかに動くためには、この摺動性が重要になってきます。

  • ナイロン(PA6、PA66)
  • ポリアセタール(POM)
  • テフロン(PTFE)
  • ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)

などの材料は、摺動性に特にすぐれた性能を発揮します。同じ材料であっても潤滑剤を混ぜ込んだ「摺動性グレード」が準備されている場合もあるので、摺動性が特に重要な場合は摺動性グレードが準備されているのかもチェックしてみるといいでしょう。

耐候性・耐UV性

材料によっては、太陽光にあたったり、紫外線にあたったりすると、変色を起こしたり、割れたり、硬化したりする恐れがあります。古い洗濯バサミが簡単に割れたりするのが紫外線劣化の代表例です。長期間屋外で利用される製品であれば、劣化してしまっては困ります。このような問題を起こさないためには、耐候性や耐UV性に優れたプラスチック素材を選ぶ必要があります。

  • ポリカーボネート(PC)
  • 塩ビ(PVC)
  • アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム(ASA)
  • テフロン(PTFE)

などが代表的です。

耐熱性・耐寒性

プラスチック材料には使用に適する温度帯があります。使用環境が高温の場合、耐熱性の低い材料だと柔らかくなってしまい使い物にならない場合も。反対に低温で耐寒性のない材料を使ってしまうと、材料がもろくなってしまいすぐに割れてしまう場合が出てきます。

常温で利用する場合は特に気にする必要はありませんが、熱源が近くにある場合や寒冷地で使用する場合は耐熱性、耐寒性についても検討項目に入れるようにしましょう。

電気絶縁性

電気絶縁性とは、その名の通り電気の通しにくさを示します。電気製品や基盤周りなどに使用する場合で特に重要視される項目です。

プラスチック材料は基本的には絶縁性をもっていますが、その一方で帯電しやすいという弱点もあります。つまり、静電気がたまりやすく、なんらかのきっかけで外部に放電してしまう可能性があるのです。放電された静電気が原因で基盤を壊してしまう可能性もあるので、帯電性の低いプラスチック材料を選ぶ必要があります。

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