プラスチック切削加工で発生する材料の反りの原因と対処法

プラスチックを高精度で加工するためには、プラスチックの「反り」を考慮にいれて加工を進める必要があります。反りの影響を無視して加工をはじめてしまうと、嵌合する部品に組み付けることができなかったり、製品本来の性能を発揮できないなどの問題が発生してしまいます。

このような問題を発生させないためにも、どのような条件下でプラスチック製品に反りが発生してしまうのかや、どうすれば反りを抑えられるのかといった知識を備えておく必要があります。

プラスチックの切削加工で発生する反りの発生原因や対策について詳しく紹介していきます。

切削加工で発生する反りの原因

プラスチックが反ってしまう大きな要因は下記の3つです。

  • 切削時に発生する熱
  • 材料成形時の圧力
  • ガラス繊維などのフィラー

切削時に発生する熱

プラスチックは加工時に加わる熱の影響で膨張し、その後時間をかけて収縮する特徴があります。収縮時にはもとの体積よりも小さくなるため、材料内部から力が加わる「残留応力」という力が発生します。この残留応力が、材料が持っている元々の形状を保つ力よりも強くなってしまうと、反りという形になって現れます。

切削時に発生する熱は、このような形で数時間後になって反りとして現れるため、加工者の頭を悩ませます。

材料成形時の圧力

2つ目の反りの要因は「材料成形時の圧力」です。ブロックや棒状の切削材料は、樹脂を溶かして型に流し込み成形します。

成形する際には圧力を加えますが、型の場所によってかかる圧力が変わってきます。その圧力の差が、切削することで表面化し、反りとなって現れます。言い換えれば「材料が元々持っている残留応力」とも言えるでしょう。

ブロック材などで、片側からのみ厚く切削していった場合では、切削した場所と切削しなかった場所の成形時の圧力の違いによって、このような反りが表面化しやすくなっています。

ガラス繊維などのフィラーの配列

プラスチックの材料によっては、強度アップのため、ガラス繊維や炭素繊維などのフィラーを混ぜ込む場合があります。フィラーは強度アップには貢献するものの、繊維の方向が材料成形時にどうしても偏ってしまいます。

この繊維方向の偏りを「配向」と言いますが、配向によって残留応力が発生します。そのため、繊維を添加した材料は繊維を添加していない材料に比べてさらに反りが発生しやすくなっています。

切削加工で発生する反りの対策

切削加工で発生する反りの原因についてわかったところで、具体的な反りの対策について見ていきましょう。

主な反りの対策は次の4つです。

  • アニール処理で残留応力を少なくする
  • 材料両面からの切削
  • 適切な材料方向
  • 切削時の熱の発生を抑える

アニール処理で残留応力を少なくする

プラスチック材料の残留応力を除去する方法があります。それは「アニール処理」と呼ばれるものです。アニール処理では、プラスチック材料を均一に加熱してからゆっくりと冷却します。

加熱には熱風乾燥機や電気炉を使用するのが一般的です。処理を行う材料によって加える温度は異なりますが、結晶性プラスチックの場合はガラス転移点よりも高い温度、非結晶性プラスチックの場合はガラス転移点よりも25℃前後低い温度で加熱します。

このようなアニール処理を施すことで、残留応力による歪みを防止できます。アニール処理は、材料の段階で行う場合もあれば、切削加工後に行う場合もあります。残留応力の面だけみてしまうと両方するのがベストですがコストがかさんでしまうため、必要とする寸法精度などに応じて適宜、アニール処理を行うといいでしょう。

材料両面からの切削

材料の片側から切削を行ってしまうと、材料成形時の圧力の偏りが原因で発生した残留応力によって歪みが発生しやすくなってしまいます。単純な対策ではありますが、このような場合は、材料の両側から切削することによって、残留応力の偏りを緩和できます。

また、両側から加工することで、加工時に発生する熱も両側から加わることになります。そのため、切削加工で発生する残留応力も分散され、より反りの少ない切削加工が可能です。

適切な材料方向

材料に対して刃物が入る方向を適切にすることでも、反りの少ない加工が可能です。

材料が成形されたときの樹脂の流れに対して、垂直方向に切削面が来るようにすると、残留応力のばらつきが抑えられます。具体的には、棒材の場合であれば、長さ方向が樹脂の流し込まれた方向です。径方向が切削面になるようにすれば、残留応力の発生を抑えられます。

フィラーを添加した材料の場合、この傾向はさらに顕著なので、切削方向をより意識するといいでしょう。

切削時の熱の発生を抑える

切削時の熱の発生を抑えることも大切です。プラスチックの反りは熱による膨張と収縮が原因のため、熱をできるだけ加えないことで反りの少ない加工ができます。

切削時の熱の発生を抑えるには次のような方法があります。

  • 切り込み量・切り込み深さを減らす
  • 切削油をかけて冷却する

切削時に切り込み量や切り込み深さを減らして、切削の回数を増やし、徐々に切削していくことで熱の発生を抑えられます。時間はかかりますが確実性のある方法です。

また、切削油をかけて冷却することでも、発生した熱がプラスチック材料に伝わる前に冷却することができます。

注意しておきたいのが、材料と切削油の相性です。吸水性の高い材料の場合は、水溶性の切削油は使えません。反対に非水溶性の切削油と相性が悪い材質もあるため、使用の前には切削油メーカーに問い合わせるのが確実です。

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