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PBT 切削

PBT切削とは?素材の特徴と選定理由

PBTの基本特性とは

耐熱・強度・電気特性をバランスよく持つエンジニアリングプラスチックです。
PBT(ポリブチレンテレフタレート)は、結晶性を持つ熱可塑性樹脂で、耐熱性・寸法安定性・機械強度・電気絶縁性に優れています。特に自動車部品や電子部品など、寸法精度と安定した性能が求められる用途に適しています。 PBTの代表的な物性は以下の通りです:
物性項目代表値(GF30%含有)特長
連続使用温度120〜140℃耐熱性に優れる
吸水率(23℃,24h)0.1〜0.2%寸法変化が少ない
体積抵抗率10¹⁴ Ω・cm絶縁性が高い
加工時は反りやバリの抑制が重要であり、工具負荷が高まらないように切削条件を最適化することが求められます。

PBTは特性バランスに優れた素材として多用途に選ばれています。

他の樹脂との違いとPBT切削の優位性

PAより吸湿が少なく、POMより熱に強いのがPBTです。
PBTは他の汎用エンプラ(PA66, POM, PPSなど)と比較してもバランスの取れた特性を持っており、以下のような使い分けがされています。
素材名主な特性PBTとの比較
PA66(ナイロン)耐摩耗・耐衝撃◎ 吸湿性ありPBTは吸湿が少なく寸法安定
POM(ポリアセタール)機械強度◎ 摩擦特性◎PBTは耐熱・電気特性に優れる
PPS(ポリフェニレンサルファイド)耐熱◎ 耐薬品◎ 成形性△PBTは加工性が良くコスト低
特にPBTは切削時のクラック発生リスクが少なく、PAのような吸湿による変形がほとんどないため、長期使用時の寸法精度を重視する製品に適しています。

PBTは加工しやすく、寸法安定性が重要な部品に最適です。

PBT切削に向いている用途とは

精密な医療治具や小ロット試作部品に適しています。
PBT切削は、成形よりも寸法精度を重視する用途や、小ロット・短納期の対応が求められる現場で重宝されています。とくに以下のような場面に向いています。 – **医療治具**:薬品に強く、電気絶縁性が必要な治具 – **精密試作部品**:組付け精度を求められる機構試作 – **電子機器部品**:コネクタ受け、絶縁スペーサーなど – **自動車向け樹脂部品**:耐熱・耐久性が必要な個所の評価用 また、PBTは切削加工後の仕上がりが安定しやすく、変形の少ない材料のため、試作→評価→設計修正という工程にも向いています。

寸法精度と電気特性を両立したい用途でPBT切削が選ばれています。

PBT切削で失敗しないための加工ポイント

PBT切削で注意すべき寸法精度と反り

PBTは反りや熱膨張による寸法ズレに注意が必要です。
PBTは熱可塑性樹脂の中でも寸法安定性に優れている反面、ガラス繊維(GF)を含むグレードでは内部応力が蓄積しやすく、切削時の**反り**や**加工後の寸法変化**が生じることがあります。特に板状・薄肉形状や偏肉形状ではこの傾向が顕著です。 反りや寸法変化を防ぐためには、以下の工夫が有効です。 – **材料のプレヒート(予熱)**:内部応力を緩和 – **固定治具の工夫**:クランプ位置を工夫し応力集中を回避 – **切削順序の最適化**:厚みのある側から加工を進める 寸法精度が求められる試作・治具部品では、**三次元測定器や画像測定器**による加工後の寸法検証も重要です。

薄肉部品や片側加工は特に反りに注意が必要です。

切削条件と工具選定のコツ

PBTは低負荷で切るのがポイントです。
PBTは柔らかすぎず硬すぎず、比較的切削しやすい部類の樹脂ですが、**熱による変形**や**工具摩耗**には配慮が必要です。特にGF入りグレードは繊維による刃先摩耗が早まります。 切削時の設定と工具選びの目安は以下の通りです:
項目推奨値・内容理由・補足
回転数8,000〜12,000rpm熱を抑えながら切削性を確保
送り速度300〜800mm/min切り粉排出を確保し、溶着防止
工具材質超硬・コーティング刃GFによる摩耗耐性を考慮
また、**クーラントを使わずエアブローを基本とするドライ加工**が推奨されます。PBTは水分を吸収しにくい素材ですが、冷却水の使用はひび割れや寸法変化の原因になる場合があります。

摩耗対策には工具選定と切削条件の最適化が不可欠です。

PBT切削で起きやすい不具合と対策

バリ・割れ・寸法ズレを防ぐには工夫が必要です。
PBT切削でよく見られる不具合には、以下のようなものがあります。 – **切削バリ**:特にGF入りでは繊維の飛び出しによるバリが出やすい – **割れやクラック**:工具の切れ味不足や過負荷時に発生 – **寸法ズレ**:熱膨張と加工応力が影響 これらの不具合を回避するには、以下の対策が効果的です。 – バリ対策 → **切削工具の定期交換**・**最終仕上げ刃での浅切削** – 割れ対策 → **負荷をかけない低送り・低切込み設定** – 寸法ズレ対策 → **前処理(予熱)+加工順の最適化** 現場では、**反りが出た場合に切削方法を見直すことで精度を改善した実績**もあり、最適な加工条件の見極めが品質を大きく左右します。

PBT切削は“割れにくいが、バリと反りには注意”が基本です。

PBT切削の加工事例を紹介

PBTは精密部品や電装部品に使われる実績が多い材料です。
PBT切削は、耐熱性・絶縁性・寸法安定性が求められる部品で幅広く採用されています。特に、微細形状や小型部品が多い電装分野や、薬品耐性・清潔性が必要な医療関連の部品などで活躍します。 また、小ロットから試作検証を行いたい場合にも、射出成形ではなく切削加工によるスピーディーな提供が可能な点が大きな強みです。

PBTは「精度+耐環境性」が必要な分野で特に選ばれています。

PBT切削を使った電装部品・機構部品

絶縁性・寸法安定性が必要な部品に最適です。
PBTは高い電気絶縁性と耐熱性を備えており、電子機器・電装ユニットで多用されています。 切削加工による部品では、以下のような例があります。
用途部品例特徴
電装機器絶縁スペーサー、コネクタ受け絶縁性・耐熱性に優れる
精密機構ギア、スライダー寸法安定性が高い
医療関連治具、検査用ホルダー薬品耐性・精度が必要
特に医療治具では、**精密位置決めと薬品耐性**が求められるため、PBTは信頼性の高い素材として採用されています。

電気・医療・精密機器分野で高い実績があります。

PBT切削の形状別加工例

薄肉、微細、複雑形状でも対応可能です。
PBT切削は、用途に応じてさまざまな設計形状に対応できます。 代表的な加工形状は下記の通りです。 – 薄肉プレート・フレーム部品 – 小径穴加工・精密溝加工 – 微細段差やR形状がある精密治具 同時に、切削時に反りやバリが生じやすい形状も存在するため、加工順やクランプ方法を工夫し、負荷を最小限に抑えることが重要です。 現場経験として、**反りが発生した際に加工条件と切削工程を見直すことで精度改善を実現した事例**もあり、柔軟な加工対応が品質に直結します。

形状に応じた加工設計・工程設計で精度を確保します。

試作から量産までのPBT切削対応事例

小ロット試作から安定した継続生産まで対応できます。
PBT切削の強みは、**射出成形では難しいスピード感と柔軟性**です。 – 試作段階:性能検証、設計検討に最適 – 小ロット対応:治具や限定生産部品に対応 – 継続供給:品質保証体制下で安定供給 さらに、三次元測定・画像測定を用いることで、微細寸法まで確認し、精度要求の高い部品にも対応可能です。
工程対応内容ポイント
試作仕様検討・1個対応検証用途に最適
小ロット治具・開発部品柔軟対応
量産安定供給・測定保証品質管理体制

設計検討段階の1個試作から継続生産まで安心して依頼できます。

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