66ナイロン・6ナイロンの切削加工

プラスチック試作品の切削加工を主業務とし、66ナイロンや6ナイロンなどのエンプラの切削加工を長年行ってまいりました。
ガラス入り樹脂の切削加工には汎用品とは違う細かい切削加工技術が必要になってきます。そのため、あまり切削経験の少ない加工業者では要望にあった加工精度が出せない場合があります。
弊社ではその66ナイロン等のガラス入り樹脂を以前からご依頼頂くケースが多かったため、その切削加工ノウハウを蓄積することが出来ております。66ナイロン、6ナイロン等のガラス入り樹脂の切削はぜひ荒川技研にご相談下さい。

66ナイロン・6ナイロンの切削加工サンプル

66N+GF30(B)
材質:66N+GF30(B)
寸法:83×35×50H
加工時の注意点:難易度の高い切削加工品です。特に、タケノコノズル先端の表面の粗さを十分気を付けました。(測定結果:RZ4.4㎛)

ナイロン切削加工サンプル
材質
白色:66N
黒色:66N+GF30(B)
寸法:108×65×70H

ナイロン切削加工サンプル
材質
白色:66N
黒色:66N+GF30(B)

PA6(6ナイロン)・PA66(66ナイロン)とは

PA6(6ナイロン)・PA66(66ナイロン)は、どちらも耐衝撃性と耐薬品性、耐熱性に特に優れたエンジニアリングプラスチックです。PAはPolyamide(ポリアミド)の略です。一般的にはPA6、PA66は総合的にナイロンやナイロン樹脂と呼ばれ、あまり区別されません。

ナイロンはアミド結合と呼ばれる結合を繰り返した構造になっており、線状の化合物となっています。PA6とPA66では結合の方法が異なり、性質も微妙に異なります。アメリカの樹脂メーカーであるデュポン社が、PA66を開発したのがナイロンの始まりです。現在ではPA66とPA6以外にも、PA11、PA12、PA46なども開発されていますが、シェアが最も大きいのがPA6、次いでPA66となっています。

66ナイロン・6ナイロンの特徴

PA6とPA66では性質が微妙に異なりますが、違いについて解説する前に、ナイロン全般の特徴について解説していきましょう。

冒頭で解説したように、ナイロンは耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックです。

機械的強度は全般的に高いですが、中でも耐衝撃性、靭性、耐疲労性に優れています。加えて、自己潤滑性もあるため、潤滑油が使えない状況下でも優れた滑り性を発揮するのが特徴です。

耐薬品性では、有機溶剤、オイル、ガソリンに対しては優れた耐性を発揮します。アルカリにも若干の耐性を発揮しますが薄い濃度に限定されており、高い濃度においては侵されてしまいます。酸に対しては弱い性質を持ちます。

また、ナイロンは吸水性が強くなっています。これはアミド基を持つことが影響しており、大気中の環境下であれば2.5〜3.5%もの水を吸収してしまいます。吸水するとナイロンの体積が変化してしまうデメリットがありますが、柔軟性や靭性を高めるメリットもあります。成形加工などの後工程では、柔軟性や靭性を高めるために強制的に吸水させる「調湿処理」を施す場合もあります。

ナイロンは優れた性質を持つ一方で、紫外線にはあまり強くなく、屋外での使用は限定的です。

PA6とPA66の違い

PA6とPA66では若干の性質差があります。

最も代表的なものが耐熱性で、PA6では融点が225℃、PA66では265℃と耐熱性ではPA66が一歩リードしています。また、強度面でもPA66のほうが優れた値を示します。反面、染色性ではPA6が優れており、強度よりも外観を重視する衣服、布などではPA6が積極的に採用されています。強度や耐熱性が優れているのはPA66ですが、価格に関してはPA6のほうが安価なため、特別強度や耐熱性を求めない場合はPA6が採用される傾向になっています。

PA6(6ナイロン)・PA66(66ナイロン)の切削の注意点

PA6やPA66は吸水性が高いため、切削時に水溶性の切削油を使用してしまうと、吸水による膨張してしまいます。水溶性クーラントの使用は、切削精度に大きく関わるため、使用を控えるか非水溶性の切削油を利用するほうがいいでしょう。

また、ナイロンは粘りがあるため、仕上げ加工時にバリが残ってしまったり、表面が毛羽立つ可能性があります。これらの問題を避けるためにも、荒加工と仕上げ加工では刃物を分けたほうが良い結果が出やすくなります。

PA6(6ナイロン)・PA66(66ナイロン)の利用用途

  • 自動車部品・内燃部品
  • 電子電機機器部品
  • 産業用機械部品 など

PA6やPA66の利用用途はとても幅広くなっています。

最も身近なものでは、衣服や布、糸などです。スポーツウェア、カバン、タオルなどがあげられます。ナイロンを素材にした布や糸は、軽くて汚れに強く、すぐ乾き、強度が高いという特徴があり、ごく一般的な存在になりました。

自動車への利用も多く、シートベルト、アクセルやブレーキのペダル、ドアハンドルなどにも使われています。力の掛かる部分への採用例が多く、これはナイロン素材の機械的強度が優れていることの裏付けとも言えます。その他でのナイロンの用途は、釣り糸や歯ブラシ、光ファイバーケーブル、防弾チョッキなどがあげられます。

66ナイロン・6ナイロンのグレード

6N(NC)標準グレード(無充填)
6N(GF30)ガラス繊維グレード
66N(NC)標準グレード
66N(GF30)ガラス繊維グレード
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