PPS

PPS切削加工サンプル
材質:PPS(GF40)(黒色)
寸法:90φ × 22H
*鋸刃メスネジ付きナット

加工上の注意点:
ツールの摩耗が激しいので、切削バイトを3種類準備し、加工寸法の安定を図りました。

PPS切削加工サンプル
材質:PPS(GF40)(黒色)
寸法:40 × 70 × 14H

加工時の注意点:
リブ(厚み0.5mm)が欠けないようにエンドミルの回転数と送り速度に注意しました。

PPS切削加工サンプル
材質:PPS(GF40)(黒色)
寸法:55 × 95 × 50H

加工時の注意点:
摩耗によってエンドミルのニゲに気遣いながら加工しました。

PPS(N)

材質:PPS(N)
寸法:80×18×22H

 
 

近年、PPSはEV&HV等の先端産業でのニーズが増えてきました。弊社ではガラス入りナイロン系の切削の経験を生かしています。御要望に応じて、切削前のアニール処理を行い、内部応力を低減させてからの切削に対応しております。加工はすべて超硬工具を使用することで綺麗な仕上げ面が得られます。PPS切削なら荒川技研にご相談ください。

PPS(ポリフェニレンサルファイド)とは

PPSは「ポリフェニレンサルファイド」というプラスチック材料を指します。そのまま「ピーピーエス」と呼ばれることが多いようです。高結晶性の熱可塑性樹脂でスーパーエンジニアリングプラスチックに分類されます。融点が280℃で、連続使用温度が220℃と優れた耐熱性をもっています。比重は1.35となっています。

PPS切削加工事例

ベンゼン環(芳香環)に硫黄分が結合した分子構造を持ち、これを重合したものがPPSとなっています。着色されていないPPSの自然色は薄い灰色や薄い茶色をしています。

PPSが最初に登場したのは1897年ですが、当時の合成方法では実用化には至りませんでした。その後1973年にフィリップス・ペトローリアム社が実用化に成功し、量産を開始しました。製造方法の特許が1984年に失効した後に、各樹脂メーカーが参入し、現在に至ります。

PPSはフィルムなどでの用途を除いて、ガラス繊維や炭素繊維などのフィラーを混ぜて利用するのが一般的です。これによりPPSの弱点である靭性を補えるようになっています。

PPS(ポリフェニレンサルファイド)の特徴

メリット
  • 耐熱性が高い
  • 機械的強度が高い
  • 耐薬品性に優れる
  • 難燃性が高い
  • 吸水性が低く寸法安定性が高い
  • 電気絶縁性が高い
デメリット
  • フィラーを充填しないと脆い

PPSは、融点280℃以上、連続使用温度が220℃と耐熱性に優れています。もともと優れた機械強度を持っていますが、靭性だけは弱く、硬い反面脆いという特性を持っています。

脆さに関してはガラス繊維や炭素繊維などのフィラーを、樹脂に混ぜ込むことで克服できるため、一般的にはフィラーを充填した状態で利用されています。フィラーを充填すると、高温時の機械的強度も増すため、PPSにフィラーを充填することは非常に合理的といえるでしょう。

耐薬品性も非常に高く、200℃以下の温度ではPPSを溶解できる薬品は、有機溶剤、酸、アルカリのすべてにおいてありません。200℃を超えた場合にのみ、ごく一部の酸などに侵されます。

難燃性が高く、難燃剤を充填しなくても優れた難燃性を発揮します。難燃性の等級を示す「UL-94規格」でも上から3番目の「V-0」となっています。

PPSは高結晶性のプラスチック素材のため、吸水性が非常に低くなっています。そのため、吸水による膨張の心配が少なくなっています。電気絶縁性も優れており、湿度や温度の高い状況下でも優れた電気絶縁性を示すのが特徴です。

PPS(ポリフェニレンサルファイド)の利用用途

PPSは優れた機械的強度、耐熱性から車などの機械分野で、電気絶縁性と耐熱性から電気・電子分野での利用が特に盛んです。いずれの用途でも、靭性の低さをカバーするためにガラス繊維や炭素繊維などのフィラーを充填するのが一般的となっています。PPSは「フィルム成形」「繊維用途」などでも利用されます。フィルムや繊維での用途では靭性を必要としないため、フィラーを充填しない利用が一般的です。

■機械分野
  • 自動車のバルブ・キャブレーター
  • 自動車の油圧ポンプ部品
  • 歯車
  • ピストンリング
■電気・電子分野
  • コネクタ部品
  • IC部品
  • ハウジング
■フィルム成形
  • コンデンサ
  • プリント基板
■繊維用途
  • 高周波配線材料
  • 電磁波遮断材料

PPS(ポリフェニレンサルファイド)の切削の注意点
PPSを切削する場合、そのほとんどがガラス繊維などを添加したグレードの切削です。フィラーの影響で、刃物の摩耗が激しくなることが予想されます。そのため、刃物材質は「超硬」を利用します。荒加工と仕上げ加工で刃物を分け、刃先の摩耗状態には常に目を配る必要があります。
荒川技研にはガラス入り樹脂の切削に長年の経験とノウハウがあります。
お気軽にご相談ください!

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