荒川技研ではMCナイロンの樹脂切削加工に長年の実績とノウハウがあります。
MCナイロンの樹脂切削加工ならお気軽にご相談ください!!
MCナイロン樹脂切削加工サンプル
寸法:160φ×60H
寸法:160×140×55H
MCナイロンの切削の注意点
MCナイロンは、基本的に被削性も高いため、切削油は使用しなくても加工には問題ありません。切り屑の排出を目的に切削油を使う場合もありますが、MCナイロンは吸水性が高いため、水溶性の切削油を使用してしまうと吸水膨張により仕上がり寸法に悪影響を及ぼします。そのため、切削油を使う場合は非水溶性の切削油を使うほうがいいでしょう。
また、加工時に発生する熱でMCナイロンが溶け出してしまう可能性もあるので、熱をためないような送り速度や回転数を意識する必要があります。
MCナイロンとは
MCナイロンは、ナイロンモノマーを原料とした樹脂です。PA6(6ナイロン)と同じ「ポリアミド樹脂」を使っていますが、大気圧下で重合・成形されているという点で成り立ちが異なります。「MC」はモノマーキャストナイロンの略で、製造方法が名前になっています。海外ではキャストナイロンと呼ばれるのが一般的です。
PA6よりも、機械的強度、耐熱性、化学的特性などにおいて優れています。エンジニアリングプラスチックの代表格で、最も一般的なMCナイロンのグレードで比重が1.16、融点が222℃となっています。
MCナイロンの代表的なグレード
- MC901・・・基本グレード
- MC900NC・・・ナチュラルグレード
- MC801・・・耐候性グレード
- MC703HL・・・摺動性グレード
- MC602ST・・・高強度・耐熱グレード
MCナイロンの特徴
メリット
- 機械的強度が高い
- 自己潤滑性がある
- 有機溶剤に強い
デメリット
- 成形加工ができない
- 吸水性が高い
- 酸・アルカリに弱い
MCナイロンは機械的強度に優れたプラスチック材料で、PA6やPA66、POMなどの他のエンジニアリングプラスチックよりも優れた性質を持っています。スーパーエンジニアリングプラスチックに比べると劣る場合もありますが、機械的強度のコストパフォーマンスはMCナイロンに歩があります。加えて、高い自己潤滑性があり、摺動性を求められるような用途でも問題なく使用できます。
優れた強度を持ちますが、MCナイロンは大気圧下で重合と成形する必要があるため、成形加工や押出加工のような圧力の掛かる加工には利用できません。基本的にMCナイロンは、大気圧下で製造されたブロック状の材料を購入し、切削加工で利用します。
吸水性が高く、吸水膨張の割合が非常に高いデメリットもあります。精度要求の高い場合、湿度の高い環境での利用、水の掛かる環境での利用にはあまり適しません。その一方で、吸水による耐衝撃性が向上するという特徴もMCナイロンはもっています。強制的に吸水させ耐衝撃性向上させる「調湿処理」を行う場合もあります。
また、アルカリには若干の耐性を示しますが、酸にはめっぽう弱くなっています。反面、有機溶剤には強い特徴があります。
一般的に流通しているMCナイロンのほとんどは独特な青色をしています。その独特な青色は樹脂材料に理解のある人であれば、MCナイロンが機械に組み込まれているのを見ただけでMCナイロンとわかるほどです。MCナイロンの着色前の色はアイボリー色ですが、メーカーの販売戦略によってこのような青色になったとされています。
MCナイロンの利用用途
MCナイロンの利用用途は、そのほとんどが工業用機械の機械部品です。主な部品としては下記が挙げられます。
- ギヤ
- スプロケット
- 軸受
- ベアリング
成形加工が利用できない都合上、コストパフォーマンスや量産性よりも強度を優先する場合にMCナイロンはよく利用されます。コストパフォーマンスと量産性を優先する場合はPA6やPA66、POMを利用したほうが成形加工が利用できるのでいいでしょう。