真空注型

真空注型とは

真空注型とはシリコンゴム等で作られた金型を利用し、型に樹脂を流し込み固化させた後、型を外して製品を作る方法です。この場合の金型は切削で作るのではなく、マスターモデルをもとに型取りをして真空注型ゴム型(シリコン型)を作り利用します。金型を切削で作るよりも圧倒的に早く安く製品を作れるのが特徴です。ある程度数十個〜100個程度の製品に向いています。それ以上になると金型自体が金属と比べ摩耗するため、再度金型が必要になります。
真空注型で作る製品の材質はウレタンかシリコンゴムが一般的です。

・複製品の精度は、金型に匹敵するほど良好です。
・金型に比べ、短納期で型が製作できます。
・射出成形が可能な部品であればほとんど複製可能です。
・金属部品及び特殊な切削加工品、成形品をインサート注型することも可能です。
・最大1,200×1,200まで対応が可能です。

真空注型のメリット

・切削において分割加工、接着にて製作する部品を一体での再現が可能です。
・小ロット製作に有効です。(シリコンゴム型 1型当り1~20個製作可能)
・金型に比べ安価で製作が可能です。
・金型と違いシリコン型の為、多少のアンダー形状も無理抜きが行えます。
・ウレタン系熱硬化樹脂によるABSライク、PPライク、透明アクリルライク、エラストマー相当が可能です。

真空注型のデメリット

・材質が、ウレタン系とエポキシ系に限定されます。
・1日に注型出来る数量が、5個前後です。(大きさにより、変動します)
・20個程度で型の更新が必要となります。(透明品は10個程度)
・切削品や射出成型品に比べ、精度がやや劣ります。
(寸法精度は、サイズによりますが、一般的に±0.1~±0.5程度(JIS規格 中級クラス)となります。)
・成形材料と物性が異なる為、実際の製品を想定した強度テスト等に適していません。

樹脂試作の加工方法比較はこちら

インサート注型技術

下写真(左)は透明ガラスをインサートした注型品です。中の透明ガラス部分と黒い樹脂との段差がほとんどない仕上がりになっています。

マスターの表面処理により、シボ、光沢、着色が可能です。
マスターの表面処理を行うことで、より製品レベルに近いものに仕上げたり、着色したりすることができます。
下写真(中・右)は、切削マスターを鏡面仕上げしてシリコン型を作製し、遮蔽性のある注型材を流し込んだものです。

※シリコン型は機密に関わるため、お渡しする事はできませんのでご了承ください。

注型品

透明ガラスをインサートした注型品

注型材

遮蔽性のある注型材

注型材

遮蔽性のある注型材(部分拡大)

真空注型は図面なし現物からの複製品の製造が可能

用途

レプリカ作成など
個人使用に限ります。商用のレプリカはお受けできません。

事例

外観部品・生産終了品の複製

難黄変タイプ透明注型品も製作可能

透明注型品は 通常のプラスチックより紫外線や経年変化(酸化、湿気、熱 等)による黄変が進みやすい為、難黄変の透明ポリウレタン真空注型材料があります。下記の写真はそれらの比較です。

マスターモデル(ガラス製)

マスターモデル(ガラス製)

透明注型品(通常タイプ)

透明注型品(通常タイプ)

透明注型品(難黄変)

透明注型品(難黄変)

真空注型で12面体を作成

今回は真空注型品のサンプルとして12面体を作成しました。

完成品: 12面体
マスターモデル:透明アクリル サイズ:92 x 95 x 8H
ゴム型:シリコンゴム
注型品:透明ウレタン 着色透明品 (赤色、黄緑色、黄色)
注型品2次加工:マスキング後シルク印刷(黒色 白色)

12面体真空注型製品

マスターモデル
こちらがマスターモデルです。マスターモデルとは原型のことで、これをもとに注型用のゴム型を作ります。

12面体真空注型
自作のジョイントパーツでアッセンブリして12面体の出来上がりです。

注型用ゴム型
こちらが作成した注型用のゴム型です。今回の材質はシリコンで作成しています。

着色透明品真空注型
こちらが真空注型で出来た着色透明品です。

シルク印刷真空注型
出来た製品にマスキングを行いシルク印刷を行いました。

真空注型で木の葉を再現

今回は自然界に落ちていた虫の食った木の葉を注型品で再現してみました。

完成品:木の葉
マスターモデル:自然界の木の葉
ゴム型:シリコンゴム
注型品:透明ウレタン(着色注型:青色、桃色、緑色)

ゴム型
こちらがマスターモデルをもとに作成したゴム型です。マスターモデルは撮影前に自然界へ戻してしまいました。

木の葉完成品
こちらが完成品です。
葉っぱのような薄肉の物であっても真空注型による小・中量生産が可能です。

対応素材

UGSUP-7610タイプABS相当
基本色ナチュラル/白・黒(着色可能)
特性・用途ABS相当材料といわれる物で、一番汎用性の高い物で、寸法精度なども一番出し易い樹脂です。
着色等もし易いため様々な部品に使用しております。
ハイキャスト3751タイプ透明
基本色クリアー(着色可能)
特性・用途通常の透明試作品などに使用いたします。
ハイキャスト3741タイプ高透明非黄変
基本色クリアー(着色可能)
特性・用途非黄変対応タイプの透明樹脂です。
高透明でなお且つ使用期間が長い、展示するなど、製品レベルでの使用に耐えうる樹脂と言えます。
ハイキャストG0459タイプ耐熱樹脂
基本色黄褐色透明(黒は可能)
特性・用途ステップキュアをする事で耐熱180度程度まで可能(形状や肉厚ににもよる)通常は130度程度。
但し割れやすいのが難点です。
ADAPT PU-01タイプ高耐熱耐衝撃
基本色黄褐色透明(黒は可能)
特性・用途耐熱性耐衝撃性ともに抜群の物性ですが高粘度のため注型方法も他とは異なります。
ADAPT RU-70タイプ樹脂メッキ対応
基本色ナチュラル・黒
特性・用途遊戯関係(パチンコ・パチスロ)の部品や自動車のドアハンドル・内装部品のメッキパーツなどの試作で使用いたします。
ハイキャスト3400タイプゴム
基本色ナチュラル・黒(着色可能)
特性・用途3液性でShoreA20~90度を10度刻みで調整可能なウレタンエラストマー樹脂です。
自動車のゴム部品などに多く使用されています。
CEP-5タイプエポキシ透明
基本色クリアー(着色可能)
特性・用途ウレタン透明樹脂と違い低粘度かつポットライフが非常に長いため気泡の無い製品を作れます。
自動車のヘッドランプの試作品や通常の注型では気泡混入が間逃れない形状に適しています。
ハイキャスト3260タイプ難燃性(V0)
基本色白(数色なら着色可能)
特性・用途UL94 V-0認定品の注型樹脂です。
小ロット量産品などにも使用しております。(一部の鉄道、航空部品の内装品など)
COPYRIGHT © 2020 ARAKAWA-GIKEN all rights reserved.